ドイツ在住の手製本家・小関佐季さんがライフワークとして取り組んでいるノートプロジェクト "sou" より、Kreuzbergische Laube'20 をご紹介します。
手作業で丁寧に作られた手製本のノートは、美しく染色された草木染め独特のムラが魅力的で、手に持ったときに植物や自然と触れ合っているような、あたたかい気持ちにさせてくれます。
ドイツ語で説明書が添付されているのもとてもユニークです。
こちらの Kreuzbergische Laube'20 は、2020年秋に、作家が当時住んでいた Kreuzung（クロイツベルク）の道端に散っていた落ち葉を染色して作ったノートになります。染色した植物の種類は関係なく、いろんな植物が混ざっています。「クロイツベルグの落ち葉」で染めたこのシリーズ名も特定の植物の名前にはせず、Kreuzbergische Laube と名前を付けたそうです。
［ノート"sou" をセレクトした理由］
長年の友人である佐季さんは、ドイツで手製本家としての職業訓練を修了し、プロの職人として手製本工房で働きながら、自身のプロジェクトを制作しています。
手で一冊一冊丁寧に製本したこのノートは、"文房具" の枠にとどまらない、私たちの生活に彩りを添えてくれる「アートピース」だと私は考えています。ノートにはシリーズごとに草木染に使った植物の名前や土地名が名付けられ、ドイツ、日本を超えて様々な土地の植物で染色されたノートは、佐季さんのプロジェクトを通して、まるで世界旅行をしているようです。
こちらの Kreuzbergische Laube'20 を選ばせていただいた理由は、見た目の美しさだけではなく、染色のきっかけや、落ち葉を拾ったクロイツベルクというエリアが、個人的にとても「ベルリン」らしいと思ったからです。秋になると、道路には落ち葉が溢れ、黄金に輝く美しいストリートがベルリンに出現します。住宅街を横切ると、誰かが道を掃除したのか、集められた落ち葉がぱんぱんに入った大きな袋がそこかしこに置いてあります。作家は散歩中にその袋からインスピレーションを受け、このシリーズを制作したそうです。散歩、クロイツベルク、落ち葉が集められた落ち葉、という言葉と制作秘話に「ベルリン」の文化、場所を感じられるストーリーに魅力を感じ、このノートをセレクトさせていただきました。
〈 "そう" プロジェクト〉
わたしたちを取り囲む春、夏、秋、冬をノートというかたちとして記録に残すライフワーク。
日本の四季とは異なる四季がわたしの暮らすドイツにもある。
肌が感じる空気の質感や温度、風の動き、目にささる太陽の光、短い夏と長い冬、それらは毎年変化をして、草木花実も共に変化していることを日々の暮らしの中で私は感じ、知った。年度の異なる木の実、乾燥した枝と生の枝、それぞれ異なる色をもっており、それは二度と同じいろにはならない。わたしを取り囲む植物の持ついろは、その季節のいろを指す。
ちいさな変化を季節とともに追い続けたい。
〈作家説明文より〉
"Das Notizbuch, das sich im alltäglichen Leben an Sie schmiegt.
Ich habe dieses Notizbuch mit der Hand gebunden und der Faden und das Gewebe mit Kirschbaumblätter aus Kreuzberg, Berlin, Japan gefärbt.
Ich wünsche Ihnen gemeinsam eine schöne Reise."
「日々の暮らしの中であなたに寄り添うノート。名前は、そう。このノートを手で製本し、糸と生地をベルリンのクロイツベルグの桜の葉っぱで染めました。一緒に素敵な旅ができることを祈っています」
〈作家プロフィール〉
小関佐季 / Saki Ozeki
愛知県名古屋市生まれ。 美術大学在学中に手製本と出会う。卒業後、手製本会社 美篶堂にて働きながら製本を学び、2015 年に渡独。 ベルリンの手製本工房 Buchbinderei Klünder でのインターンを経て、フリーランスの製本家として働く。 2023 年6 月、Buchbinderei Klünder にて手製本職人のAusbildung(職業訓練） を終了し、現在は職人として働きながら、2017 年に始めたライフワーク "そう" の活動を続ける。
https://ozequisaqui.com/
Selected, photographed and written by Yuko Nakajima
佐季さんにインタビューさせていただいた記事は下記よりお読みいただけます。プロジェクトや草木染めを始めたきっかけ、彼女が受けたドイツに職業訓練のことなど話してくれました。ぜひご覧ください。
「今に満足しないで、とにかく毎日やって、どんどん上手くなりたい」手製本家・小関佐季 / インタビュー前編
「手を使う仕事で、紙と関われること。製本は自分にとってパーフェクトだと思った」手製本家・小関佐季 / インタビュー後編
▼日々の暮らしに寄り添うノート "sou" シリーズ
Kirschbaumblätter'19 / 桜の木の葉
Sakura'20 / 桜
Wurmkraut'20 / 蓬菊
| カテゴリー |
ノート |
| サイズ |
縦19cm × 横13.5cm × 厚み11cm |
| 素材 |
表面：布張り、中面：紙 |
| from |
German / ドイツ
|
| 送料 |
300円 |
| 発送予定 |
ご注文後1週間以内
|
