#17「」
寄稿者:中島ゆう子(写真家)
ベルリンに住み始めてから、秋が好きになった。夏時間が終わり、日照時間も刻々と短くなっていく季節ではあるが、街中は落ち葉や枯れ葉で黄色やオレンジ 色に染まり、鮮やかな暖色に色づいた街道は絵画のように美しい。たまに顔を出す日の光を受け輝く葉っぱや、風で揺れる枯れ葉や道路で踊る落ち葉を目にすると、なんともいえぬ多幸感で胸がポカポカする。この日は午前中から雨が降り、寒さが一段と増した。雨上がりの中、近所へ散歩に出かけると湿った落ち葉が石畳の歩道に広がっていた。落ち葉を踏んでもいつものようなカサっとした音はない。水たまりに映る少し寂しい枯木、薄暗い空、湿った落ち葉 ― 美しい秋が終わり、冬戯れの日々の始まりを感じた。
Profile
中島ゆう子 / 写真家・ビジュアルアーティスト
日本大学芸術学部写真学科卒業後、坂田栄一郎氏に師事する。 過去と現在、個人とコミュニティを結びつけ、人間の相互作用、記憶、および精神性に焦点を当てた作品を制作している。 大学時代から一貫して中盤フィルムカメラで撮影を続けている。
曾祖母の箪笥とその記憶をテーマにした作品『A chest』(2015)、イヴ・クラインの言葉から着想を得た「青」をテーマにした作品『The Blue of SAYONARA』(2014-2016)を制作。渡独後、信仰と宗教的表現を現代の視点から写真で再解釈した『The Trinity -place, community and spirituality-』(2017-2021)を制作する。同作品はベルリン(ドイツ)、リガ(ラトビア)、アムステルダム(オランダ)、東京、北海道(日本)で展示されている。 2023年夏に新しいプロジェクト『Thick Forest of Dachgeschoss / ダッハゲショッスの森』をベルリンで発表。
▼エッセイ「タイトルを持たない写真」について
https://atsea.day/blogs/journal/yukonakajima-essay-0
▼著者の寄稿文一覧
https://atsea.day/blogs/profile/yuko-nakajima
