1 − 音の浮力〜フィンランドの森と湖が持つ不思議な力
寄稿者:中村風詩人(写真家)



「フィンランドは森と湖が素晴らしいと聞きました。どこが良いでしょうか」と。さらに今回は続けて「somewhere photogenic(どこか絵になるところ)」と付け加えた。女性は深く悩むこともなく「Kulhanvuori forests, it’s my hometown.」と答えてくれた。どうやら女性の故郷近くの森がお勧めらしい。聞くと森の近くに(と言ってもそれほど近くはなかったが)一軒だけ宿があるものの、交通機関がないためユヴァスキュラという主要駅を降りてから車で3時間近く走る必要があると言う。
もう少し行きやすく有名な森のほうが良いかと考える僕をよそに、女性は携帯電話をいじり始めた。通路の脇にあったパンフレットコーナーを見ていると、女性が寄ってきて一枚の写真を見せてくれた。「It’s the forest, my hometown」。女性は先ほどの回答に念を押すように同じ事を言う。その一枚の写真をみた瞬間に僕は旅の目的地を決めた。近くに一軒しかない宿を取り、いささか離れた最寄り駅からのレンタカーを予約した。そしてその翌日、ほとんど見ず知らずの人のホームタウンに到着した。
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2:音の浮力〜フィンランドの森と湖が持つ不思議な力 – In the forests and lakes, felt like floating.