サハラ砂漠の遊牧民の家に泊まった話
寄稿者:堀内彩香(写真家)
サハラの遊牧民の家に泊まるというツアーに行った。 モロッコ中部の都市、ワルザザートというサハラの入り口の街からバギーに乗って砂漠へ入る。街の音が遠くなる。 だんだんと陽が傾いてくる。サハラ砂漠には細かい粒子の黄色い砂の砂漠と、ごつごつとした岩でできた礫砂漠がある。こちらは後者の、果てしなく地平線の続く岩の砂漠。夕陽の沈む少し前に、遊牧民の家に着く。

「家」と聞いていたけれど、目の前にあるものは私の感覚でいうと塀に近い。砂と草を混ぜて固めたレンガを積み重ねて、壁を作っている。だがそこには屋根はなく、頭上にはただ空が広がっている。
すぐ隣には動物の毛で編んだ布を被せた、背の低いテントがあった。私たちは今夜ここに泊めてくれるらしい。テントは一つだけ。もしかしてみんな普段ここで寝てる?借りちゃっていいの?



夜が来るとそこには一面の星。
時々ラクダの寝言が聞こえる。家って建物のことじゃないのかもしれないな、とぼんやり思う。季節とともに移動する彼らにとっては、もしかしたら家というものの輪郭が曖昧なのかも。 結局わたしたちは外に布団を引っ張り出して、星空の下で眠る事にした。

Profile
堀内彩香 / 写真家
1989年生まれ。新潟県出身。
大学で写真とデザインを学んだ後、スタジオに入社。
カメラマン羽田誠氏のアシスタントを経て、2016年独立。
好きなものは旅行、博物館、石、街の散歩と裁縫。
https://www.horiuchiayaka.com/