Today Is the First Day / Wolfgang Tillmans

ドイツ出身の写真家ヴォルフガング・ティルマンス（Wolfgang Tillmans / 1968-）が企画・デザインし、ダブリンのIMMAで開催された「Rebuilding the Future」展と、ブリュッセルのWIELSで開催された「Today Is The First Day」展に関連した展覧図録 / アーティスト・ブックです。本書『Today Is The First Day』は、ドイツのVerlag der Buchhandlung Walther Königから出版されました。写真作品やビデオ作品、さらに舞台美術のデザインなど、ティルマンスの作品のアプローチ方法はとても多様です。本アーティスト・ブックは、近年各国で開催された展覧会のインスタレーションが詳しく紹介されています。

※新品で買い付けましたが、表紙に一部傷があります（写真よりご確認の上、ご購入をお願いいたします）。
 

［この本を選んだ理由］

過去3年分のティルマンスの展覧会が、この本に集約されています。とても見応えがある内容なのですが、「本」自体にも個人的にとても魅力を感じます。中ページで使われている紙はとても軽やかで、さらにハードカバーにはないシュッとした本のフォルムになっています。黒と白でぎざぎざした断面が、ビデオテープやカセットテープのような「メディア」を連想させ、思わず平置きで飾りたくさせるデザインです。
とても個人的なお話になりますが、この本を初めて見たとき、私が16歳のときにオペラシティで開催されたティルマンスの展覧会を思い出しました。その展覧会の写真が掲載されていないのにも関わらず、オペラシティで観覧した展覧会や、16歳の自分自身と、この本の中で久々に「再会」した、とても不思議な気持ちになりました。ノスタルジーさを感じるのは、彼が一貫して「ティルマンスのスタイル」で作品展を開催しつづけているからだと、この本を通して感じました。ゆっくり時間をかけてページをめくるのも良いですし、ふとしたときにパラパラっと観ても楽しい、そんな一冊です。


Selected, photographed and written by Yuko Nakajima
 

※ハードカバー